♪ 傷みを伝えるイメージの代表。
このような指通りになると、保湿剤を欠かすことは出来ませんし、そのための手間ヒマも必要となります。もちろんそれを承知(目的を得る引き換え)している方はいいのですが、夢だけを追いかけると傷みから来る手入れの大変さを忘れがちです。
スタイリングの楽さを維持したい方は、事前に目的の施術に伴うリスク(傷みや持ち)を確認しておくことを勧めます。
♪ そもそも傷みとは何か…
化学反応を利用して目的を得ると、引き換えに副作用(リスク)が生じます。その代表が傷みで、この問題は全ての薬品が持ち、ゼロにすることは出来ません。
しかし、無理のない適正な使い方をすればリスクは最低限で抑えられます。つまり理論的に薬品を扱えば、どれでもリスクを最低にすることは可能なのです。
ちなみに、髪が傷むと乾燥状態が強まり、髪と髪の滑りが悪くなります。さらに進むと指通りやクシ通りが悪く(上記写真)なり、やがて枝毛や切れ毛などに到ります。このような状況を傷みの増加と言うのですが、リスクが小さければ極普通のコンディショナーで済む場合が多くなります。(確認は追跡調査へ)
♪ では、傷みを追跡調査で確認してみます。
(艶の変化を継続的に観察してみます)
薬品を理論的に扱っているかを確認するには、長期間の追跡調査が必要です。そこで計7回のパーマ施術から、撮影を行った5回分のデータを用いて、艶の変化を簡単に確認してみます。ただし艶は写真の撮り方、天候、角度などで、微妙に変わることを先にお断りしておきます。(カラー有=モデルさん自身の染め)
傷みの比較には、こちらの方が分かり易いかもしれません。
カット直後の髪艶がパーマ後はやや減少(半艶)したことがおわかりでしょうか… この半艶感(現象)が2年間維持されていることが、写真からわかります。この状態を「傷みの管理」と言い、薬品が理論的に扱われた証となります。つまり適切な管理がされていれば、最低限の傷みを継続的に維持することが出来るということです。このように艶の変化から、薬品の管理、安全性、楽さまで分かるのです。またこの薬品の管理を応用すると、傷みの改善が可能になります。
下の写真は、10.08.20ハンドブロー(上段右)のロットアウトとすすぎ後です。
紹介する全作品は、極普通のコンディショナーだけの状態です。 なお形作りは整髪剤を付けずにハンドブローで行い、ドライヤーによるブローをしなくてもこの程度の仕上がり感(しなやかで自然な髪の動きと艶のある状態)が得られます。
(傷みの小さいことを教える現象=条件)
♪ 艶と傷みの関係。
各毛髪の表面の違いが艶の違いを生むので、艶をある範囲内に保てば、それが薬品を管理した証になります。管理が適正なら目的を得ながら、傷みも小さく抑えられ艶も維持されるわけです。髪艶の変化からこんなことがわかるのですが、傷んだ髪の改善にはショートヘアで最短4ヶ月程度の時間が必要で、写真の乾燥毛(髪質でも変わる)は長さがあるため半年前後必要です。(傷みは直ぐに治りません)
注意 傷みが改善しても、もともとの髪質より良くなることはありません。
写真の損傷毛(ネットから得た資料)は、一旦カットで短くすることを勧めます。なぜなら、これはどうにもできない状態だからです。(協会の見解は事故扱い)
このように髪表面の違いが、そのまま指通りの悪さになるため、傷みの程度の違いが、形作りを楽にしたり面倒にしたり、不潔感を生む違いにつながります。
♪ 傷みの調整は、美容師の仕事。
(傷みを自動調整する道具はない)
パーマをダイレクトスタイリングする条件の一つが、この傷みの調整力です。
ただし安全性関連(パーマのかかり具合は、なぜ違うのか)で紹介すように、調整を不安定にする理由(不確定要素)は複数あり、この問題が傷みにも関連しているため、髪を適切に分類する美容師の判断力と熟練度が必要となります。
その判断で「解かれていない理論」の内容を一部応用し、施術結果を確認します。なお、この調整から薬品の扱い方の成否と、薬品の理解度が分かります。
♪ パーマ技術の3大基本。(合わせて基本調整と言う)
強さの調整、根本の調整と、傷みの調整を、パーマ技術の3大基本といいます。この基本はパーマを調整するための必須条件で、これらが効果的に機能すると、かかり具合(強さ、根元、傷み)を自在に変更することが可能になります。同時に、この調整中に見える全ての動きが、パーマを調整した手応えとなります。
この手応えが一つ失われるごとに、お客様は早期にこの違い(パーマの性能低下)に気付くのですが、形作りに夢中な美容師さんは中々気付かないのです。
そんなわけでお客様のパーマへの評価は「さらに悪化」し、それが不信感に変わりパーマ人口は激減してしまいました。
※同様に良いと言われる高い薬品で、効果が出ないため、不信感はさらに強まりました。
テストカールで傷みは確認できないため、カルテの能力(記録内容とその精度)が重要になります。しかし、現存するカルテには傷みを管理能力がないため、傷みの改善やそれを維持することが出来ません。なお、この管理を技術と捉えることのできる方は、有料会員の登録をすすめます。
髪の艶や指通りも傷みの物差しになるのですが、感覚的な表現になるので行いませんが、傷みの程度を現す指針となることは確かです。