(コンディショナー&リンスで済む傷みなら、先ずは安心です)
保湿剤を付けない洗い髪(ウェット&ドライ)が、やや引っかかる、あるいはややキシム程度の手触りを、軽度な傷みの範囲といいます。この状態ならごく普通のコンディショナーでカバーでき、髪性能も安全性も保たれた状態と考えられます。
しかし、この手触りは個々の感じ方で変わる感覚的な表現になるため、現パーマ技術ではデータとしての評価がありません。にもかかわらず、お客様の殆ど全ての方がこの変化(風合いの変化、スタイリングの楽さ等)に直ちに気付き、それが声(反応)になって返ることがわかっています。
※傷みの調整にある、指通りの悪さを示す写真は中度な傷みの範囲に分類します。
※当協会は傷みを5分類で表現します。《なし 軽度 中度 重度 事故》
注意 リンスインシャンプー、コンディショナー等を使うと、手触りの違いは分かりません。
この多くの方が感じる指通りの違いを表現するため、傷みの追跡調査で使った写真の艶に、すすぎ時の手触りの違いを加えて、これを点数化し各施術の分析を行いました。基準点はカット後の艶でこれを100点とし、毎回変わるパーマ後の艶と手触りの違い(手応え)をカルテの内容と照らし合わせて算出したものです。それが写真上部の数字で、基準点から減点された点数が傷みの程度となります。
※熟練者の経験値を点数化したものですが、経験値のためあくまでも参考資料となります。
※協会はコンディショナーで済む傷みの範囲を軽度と定め、その下限を70点とています。
表内の点数と矢印の動きから分かること。
●○印が傷みの程度の違いを現し、矢印の傾きは傷みの増減を現しています。
●点数の上下動は、指通りと艶の違い(傷み)を経験値で数値化したものです。
●85点〜75点の施術内容を、最低で2年間継続していることが分かります。
●矢印の傾きは、施術の前に問題を察知し、それに配慮した対応力を現します。
●この対応力が具体的な施術の違いとなり、点数や矢印の違いになり現れます。
●さらに点数の全てが、70点以下にならない計画的な調整がされています。
●そしてこの調整を監視するために、管理のできるカルテが必要になります。
この傷みの追跡調査(指通りと艶の違い=傷み)のグラフから、美容師が髪の変化(点数)をどう感じて、どう対応したのか(矢印)を確認することができます。
パーマの結果(かかり具合)にパーフェクトはなく、そのため毎回改善点が残ります。それが具体的なやり方に反映して、毎回の施術内容の違いになるのです。
つまり、グラフの動き方から美容師の考えや、施術の違いが見えるということです。この違いを高い精度で残すために必要なものが、数値化という技術です。
※施術内容の違いとは、道具を変えるという単純なことではありません。
※グラフ化するための点数化には、調整をしている確実な手応えが必要です。
注意 この説明の当てはまらないケースもあるため、あくまでも目安と認識してください。
実は、昔からサラサラ過ぎる髪のスタイリングは難しく、ほんの少しだけ傷める(軽度な傷み)ことで作り易くなることが知られていました。
それが、このコンディショナーで済む範囲の何処かにあることがわかります。
よってこの軽度な傷みの範囲(安全性の確保)を維持することができれば、スタイリングの楽(実用性の向上)さ、壊れ難さ(持ちの向上)が確保でき、嬉しいパーマの提供が可能になります。おまけにおしゃれの手間やコストも省けるため、ヘアケア製品の使用も自然に抑えられ環境にも優しくなります。
この調整の実現で、パーマ技術の高性能化を促進しながら、省資源や対環境対策にも貢献することになります。もちろん傷むのが絶対に嫌な方にはすすめられませんが、実用性能(楽さ)を高めたい方には重宝な情報となります。
ハンドブローとはで、この作品の一部を動画紹介していますが、これも整髪剤を使わないスタイリングです。パーマ技術でこのような内容が提供できれば、パーマを愛好される方に喜んで頂けるのではないでしょうか。
この実用性能を高める傷みの調整を、「ほんの少しだけ傷めるパーマ」といい、それを管理(継続)することが出来るようになりました。
ご自分の髪の傷みの程度を知りたい方、楽さを求める方に役立つ情報になればと思い紹介いたします。
(コンディショナー&トリートメント)
基本的な成分は油脂で、髪の表面に油膜のバリアーを形成し、髪内部の水分の蒸発を遅らせ乾燥を抑え、一時的に手触りの良さを確保するものです。
トリートメントはコンディショナーより油膜が強いため、65点以下の傷みに用いますが髪には個人差があるため、70点前後でも不足するケースから逆にべた付くケースまで様々です。つまり、丁度いいものは中々ないということを、頭の片隅に記憶して置いてください。
使い勝手や内容の評価は1週間程度の観察時間が必要で、個々の感じ方でも評価は変わるため、良し悪しを決めることは簡単ではありません。最終的にフィーリングで決めることになるのではないでしょうか。
※保湿剤には、基の髪質より良くする能力や、傷みを根治する能力はありません。
※保湿剤は対処法のため、傷みを一時的に緩和するものです。
※傷んだ髪に保湿剤は重宝な存在ですが、頼らなくてもいい状態が理想です。
※保湿効果の感じ方は人それぞれに違うため、評価は人それぞれに分かれます。
※すすぎ時に手加減を加えると、化学薬品が多く髪に残ります。
●複数の事柄が絡んで起きる問題。
頭皮に残る線状の痕跡は軽度ですが、この痕はパーマの施術に、問題のあったことを教える現象でもあります。
しかしゴムに責任はありませんし、薬品のせいでもありません。ではなぜこの様なロットの巻き跡や、ゴムの止め跡が残るのか… これらの問題は道具の扱い方に起因しています。
この跡の残る理由が分かれば、ピンパームでもロットでも傷痕は出さずに済むのですが、それがわからないと防ぐことが出来ず、何かの拍子に不意に出てしまいます。そのため従来型のパーマは、このスライス痕やゴム痕を小道具で誤魔化して来ました。たまたまこのスライス痕のデータは、ピンパームで紹介するオールウェーブと同じモデルさんで、そのオールウェーブの作品にはスライス痕が出ていません。もちろん出さない技術的配慮がされているから出ていないのですが、偶然にも同じモデルさんで比較することができました。
※この痕跡データは、従来的なパーマで施術をする美容師さんから得たものです。
●この痕跡のヘアスタイルへの影響。
写真(左)のスライス痕は、3日程度(許容範囲ギリギリの痕跡)でわからなくなります。問題は髪の薄い方の場合で、このスライス痕とは別に、巻いたカールの形状が筒状(トンネル状)に透けて見えてしまう場合があるのです。
もっとハッキリ見えるケースでもやがて消えるのですが、見えるうちは見苦しいためパーマへのマイナス評価につながります。
写真(右)のゴム痕は髪の根元にくの字の痕跡を残すため、ヘアスタイルに計算外の不用意な動きを与える場合があります。写真程度の動きになると少々ヘアスタイルに影響が出るため、カットなどで取り除く作業が別途必要になります。
なお、太いロットを使うとスライス痕やゴム痕は一見出ない感じになりますが、この場合は痕跡が目に見えないだけで原因は依然内在した状態です。
※さらに太いロットは根元近くがかからないため、持続性は悪くなります。
スライス痕もゴム痕も、度が過ぎるとヘアスタイルに影響するのですが、安全性と関わる情報のため紹介しておきます。
目的を得ると同時に、傷みの強く出る施術(必然的)※もあります。そのため肌の弱い方やスタイリングの楽さを優先する方、髪の艶をおしゃれの要素と考える方は、事前に確認する事をおすすめします。また、傷みは安全性の高低を現す現象(安全性の確認)ですので、合わせてリスク情報と認知する事が賢明となります。
このような見地から当協会は、パーマのかけ直しなどの商法的サービスの利用を、理由が明確にならないまま利用することを推奨いたしません。
●目的を優先すると同時に傷みの強く出る施術(2014.06現在)の色々。
※ストレートパーマ、ドレッドパーマ、アイロンによる過度の熱害、及びこれらの複合施術と、許容範囲を超えたパーマの重複施術などが含まれます。
※傷みが増える程トリートメント等の効果は小さくなり、やがて効果を感じなくなります。
§ 調整を狂わせる複数の要因。
(弱過ぎたり、強過ぎたり、急に取れたりする理由)
●いつも同じように見える髪ですが、実はいつも違う状態です。
※この髪の状態を「髪に同じ時はない」と言います。
●形が同じように見えたとしても、カットの内容は毎回違います。
※これを「同じイメージでカットをする」と言います。
●前回と同じように巻いたつもりでも、巻き方は毎回違います。
※練習を重ねて熟練しても「同じような事」しか出来ません。
●美容師の体調は毎日違うため、施術も判断も毎回変わります。
※これを補うため「正確なデータの分析」が必要になります。
●前回カルテの内容を、忠実に実行することは出来ません。
※同じことはできないため「臨機応変な変更」も必要になります。
●パーマ液の働きを阻害したり、促進したりする条件の色々。
※「マニキュア、カラーリンス、鉄分、熱害&強い傷み」がこれに当たります。
※これらの成分がパーマ液を阻害するため、かかり具合の計算を難しくします。
答えは、❝この複数の条件が毎回重なり影響しあうから❞ です。
この代表的な6つの条件を不確定要素といいます。
これらが組み合わさりかかり具合に違いを作るため、毎回同じ調整(かかり具合&強さ)をすること自体が難しく、そのため動きの見えるテストは必須なのです。
しかし、それでも強さに違いが出るため、そこで ❝やや弱い〜やや強い❞ までを強さの安定再現と定め許容範囲とします。ですから毎回明らかにかかり具合が違うと感じる場合は、許容範囲から外れた調整が疑われ、テストカールに問題のある可能性が高まります。
こんな具合ですから、カルテの内容を守るだけでは、同じにならないわけです。
これが美容師の不安材料になり、念を入れ過ぎて強くなり過ぎたり、強くなる心配をし過ぎて弱過ぎたり、直ぐに取れるパーマにつながることが有るようです。
そしてこの思い通りにならない現象に慣れてしまうと、無意識に調整をあきらめて、ヤマ勘に頼る施術が多くなり自己流を助長してしまいます。
美容師の戦う相手は不確定要素で、目の前で起きる現象はいつも違うため、新たな判断を毎回する必要があるのです。つまり、前回と同じことは起きないため、「何故そうなったのか」を知る必要があるのです。
あとはこの何故に対応する施術を次回に実施し記録すれば、やがてこの繰り返しで信頼度の高い良質なデータがそろいます。
その効果を測るものが、ハンドブロー(楽)の成否、傷み(艶)の増減、必要とする保湿剤の内容(種類で変わる効果の違い)、ロット&ゴム痕(傷跡)等の現象から、ある程度推測が可能になるわけです。そしてこの原因を見つけ出す能力がカルテには必要で、新たなパーマ技術はこの能力も取得しています。
この数値化を取り入れたいと思われる方には、有料会員の登録をすすめします。