(直毛をウエーブ化する基本技術)

 

 

§ このカットの目標と、その注意点。

 

カットの長さの決め方と、そのフォルムのイメージング。 

カット後の状態(下段)と、カット前の雰囲気… 随分違いますね!

 

紹介したオールウェーブをイメージしながら、頭頂部にはボリュームとウェーブの出る長さを、その他はボリュームの出ないカットを行います。そしてエリ足の長さは、パーマ後に少し修正できる長さに調整しておきます。

つまり、パーマで変わるカットの長さを予測して、組み立てを行うのがパーマ用のカットで、これがカットだけで形作りをする場合との違いです。

 

 

§ ワインド。

 

カールの巻き方はウェーブ構成で行い、エリ足は首筋にパーマをフィットさせるようにかけます。(ウェーブを求めない場合はウェーブ構成の配列を行いません) 

ピンパームのウェーブ構成は古典的な基本技術で、技術習得の最初は真似から始まります。その後、必要なルールを熟練度に応じて加えることで、さらなる技術の前進が得られます。もちろん前進するには何らかの手応えが必要で、真似を続けるだけでは手応えが見えなくなるため、知らず知らずに自己流になり、守る必要のあるルールまで失う(現状維持=レベル低下)ので注意してください。

※実際のワインドは、動画でご確認してください。

 

 

 § テストカール。

 

強さの調整を自覚する美容師は、初回テストでこの動き近いか遠いか=調整の手応え)の詳細を見逃しません。しかし、この確認には比較する動きが必要なため、「ロットを外す前にあらかじめ強さの予測をイメージング」することが条件となります。そしてこの比較がイメージと一致するようになると、セカンド調整の予測がスムーズになり、さらに具体的な改善方法もわかるようになります。

2回目のテスト条件は、強くなった動きが確実に見えることです。

※テストカールは、弱い側から強い側への一方通行の調整しかできません。

 

17:36 ピンアウトのカールが2回目のカールより小さいのは、2回目のテスト後、放置をしてから酸化(2液塗布)に入ったためで、その放置した分だけカールが巻き込まれ、パーマが強くなりました。初回のカールを約1回転弱とすると、2回目は1、2回転位で、ピンアウトは1,4回転です。

ちなみに2回目のカールサイズを測ると、最外径で24ミリくらいあるようです。

 

 

§ ピンアウト。(パーマの終わりではなく形作りの最初のデータ)

 

この表情から、パーマの結果(出来不出来)をある程度予測することが可能です。何故なら、ピンアウトの風景は形作りの最初の情報で、このかかり具合の表情の違いは形の優劣を決める最初の一歩となるからです。(ロットのパーマも同じ)

ただし、この表情は髪条件で変わるため、このモデルさんとこのモデルさんの髪条件に似た人に当てはまるデータとなります。ですからこの髪条件から遠い髪には、この施術データは役立たなくなる可能性が高くなります。同時に美容師さんは、このモデルさんの髪条件(個人差)をどう判断したかを試されます。

(これがサロンで行われる毎日の日課で、この判断と選別も美容師の仕事です)

 

 

§ すすぎ後。

 

前髪にウェーブらしき動きを感じますが、それ以外の場所では分かりません。

※写真の状態のまま手グシを続ければ、ウェーブのない形作りも可能です。

髪の長さがパーマで縮み、短くなった分がボリュームに変わり、カット時の縦長で線の細いフォルムは解消されました。このように目的のかかり具合を安定して再現できると、このような変化を予測することが可能になります。結果、今回のウェーブ達成率は85%程度となりました。(残りの15%は実技で説明を行います)

しかしながら協会の使命はあくまでも基本の伝達ですので、応用的な説明には触れずに、このままこの作品に見られるその他の現象の紹介を続けます。

 

 

§ では、このパーマのスライス痕の確認を行います。

 

ピンクの写真のスライス痕は安全性関連で紹介したものですが、

同モデルの黄色の写真(オールウェーブ)にはこの痕跡がありません。なぜなのか…

※ピンパームは出難いのですが、出る場合があるためピンパームだからではありません。

 

従来のパーマには、このスライス痕の出る理由を明確にした文献はありません。そのため出るのは仕方がないと認識され、この痕跡を小道具で誤魔化して来ました。しかし、新たなパーマ技術はその理由を解いたため、スライス痕を出さずに済むようになりました。これをロットに使うと、やはりスライス痕は出なくなります。些細な現象と思われる方もあるのでしょうが、協会はここに大きな意味があると考えるため紹介をいたします。

 

 

§ ハンドブロー。(カット、すすぎ後、ハンドブローを比較してみます)

 

カット後、すすぎ後、ハンドブロー後を比較すると、イメージの大幅な変化が感じられますね! これをカットの段階で予測することがパーマ技術の要です。

しかし、基本調整に不安定さがあると、この予測はできないのです。

写真からわかる変化は、カットの色気のなさがパーマで補われ、そこにウェーブが加わり品格を備えた作品に生まれ変わったことです。

カットだけでは得られないパーマ独自のデザイン性と、高い実用性を備えたわけですが、カットの段階でこの変化を予測できると、パーマは楽しくなるのです。 

 

ただし、これはパーマを上手く調整できればの話で、予測通りの調整が出来ないと全てを(デザイン性&実用性=機能性)失います。

そのためウェーブヘアはカットとパーマ技術の両レベルの高さが必要で、パーマの良し悪しは、この2つの施術内容の相乗効果ということになります。

そしてこの話は、この調整をするのは誰かと言う問題を改めて提起します。

 

では、最後にハンドブローの雰囲気を紹介します。

もうお分かりのように実用性能はカットとパーマの組み合わせで得られるもので、その調整の効果がハンドブローとなって現れます。

ただし、パーマ技術には予測できない難しい面もあるため、レベルが上がっても失敗するリスクを覚悟しておく必要があります。つまり、油断のできないのがパーマ技術のため、何時も毎回真剣勝負と理解することが大切です。

 

 

§ では、この作品のスタイリングを、動画で紹介します。

パーマ技術の基本は、楽なスタイリングを約束するベースでありながら、新たなデザインを作り出す能力を備えることも必要です。その楽さの提案がハンドブローや、ブラッシングや、水気を飛ばしただけで形になるスタイリングです。

※オールウェーブは、この中のブラッシングで仕上げた作品です。

※形には、好き嫌いなどの感覚的な問題があるためコメントを控えます。

 

 

この作品に使用した主なパーマの調整内容。

◆ウェーブのイメージング。(パーマの基本技術)

◆イメージングを実現にするカールの配列。(熟練の作業)

◆強さ、根元、傷みを調整する、3大基本調整。

◆縮む量を予測した長さの決め方と、強さの調整。(経験値の要る予測技術)

◆ピンパームによる中位以上の強さにする調整。(力の均一に入ったカール作り)

 

データベースを利用するには、会員登録が必要となります。

 

日本ピンパーム協会

中部事務局

 

代表 遠山千秋

 

 

 協会代表の挨拶。

 

新たなパーマ技術の発見と、

その性能。

 

私は日本ピンパーム協会中部事務局で代表を務める、遠山千秋と申します。協会発足当時から多くの美容師さんと関わる立場にあり、パーマの夢を語り合ったり、自らがモデルになりパーマを体験して来ました。そのパーマの理想が、シャンプー後のスタイリングの楽さ(楽さ、長持ち)と、格好の良さ(デザイン性)でした。

このようなパーマの内容が提供されれば誰もが嬉しく、これなら後世に残るパーマ技術になると確信します。しかし実際はと言うと、この内容のパーマがなかなか提供されず、おしゃれコストだけが突出してしまい、パーマ人口は大幅に低下してしまいました。

 

協会も発足当時からこの夢の実現のため、多くの美容師さんに情報の伝達を続けながら縁をつないで来ました。しかし技術レベルのアップははかどらず、私の心配は的中して2013年の段階で昭和40年代のパーマ人口にまで激減してしまいました。(日本パーマネント液工業組合の表で確認を行う)

 

そんな中、縁を持った一人の美容師さんが「こんなことが出来るようになった」と、あるパーマを見せてくれたのです。それがここで紹介するパーマ技術の原型です。この技術は私の知るパーマの常識をことごとく覆す内容を持っていて、その内容と結果に私はしばし言葉を失いました。その具体的な施術が、強さ、根元、傷みの3つに分類した基本調整です。

 

※実は、従来のパーマにこの調整を詳細に説明した文献はありません。個人技で理想に近い結果を提供する美容師さんは少数あるのですが、説明が…

 

技術開発には約15年を要したそうで、そのかいがあり従来のパーマ技術に‟解かれていない理論“を見つけることができたとのことです。また実際に傷みの少なさを目の当たりにした私は、基本技術の大切さを改めて見直します。さらにこの発見で従来パーマの不安定さも解決することが分かり、この新たな基本技術に私自身も大変ビックリしております。

  

しかし、この技術を開発した美容師さんは留まる事なく、2006年頃から施術内容の視覚化に取り組んでいたのです。それが各調整で紹介する、動きの見えるテスト、根元の動き、艶による傷みの確認と、持続性の追跡調査等です。 

 

さて、巷には色々なパーマの応用技術があるのですが、結果として「毎回違うかかり具合」「直ぐに取れる」「チリチリになる」「バサバサになる」「楽にならない」などを感じたら、それが基本に問題のあるメッセージとなります。極端な違いや不安定さを感じる場合は、各調整のどれか、あるいは全てに問題が出ている可能性が高くなります。この状態の時、紹介した調整の動きは見えません。

 

そんなことも、このパーマ技術の開発で分かるようになりました。

なお、この現象はピンパームにもロットにも共通する、パーマの普遍的な基本技術です。

 

日本ピンパーム協会の有料会員に登録して頂くと、さらに詳細な情報が分かります。 

 

 

 

 

この技術データはサイクル化(下図)して、絞り込まれて更なる質の向上に貢献するデータを提案します。

 

また、このパーマ技術は、高い安全性と環境に優しい能力を備えながら、さらに省資源やエコ化にも貢献します。