(エリ足をフィットさせるピンパームの基本技術)
先ずは、伸びた髪の状態を吟味して、作ろうとする形をイメージングし、それに合わせたカットとワインドの組み立てを行います。
見てお分かりのように、全体的に毛量のある条件のため、ボリュームを抑えるカットを行いながら、エリ足を首筋にフィットさせることを目標にカットを行います。
そのカット後の写真です。全体的のボリュームを抑えながら、さらにエリ足を薄くフィットさせるカットを行いました。
ワインドにもイメージングは反映し、カットで決めた目標を実現するために、ボリュームの欲しいところと、要らないところで巻き方を変えます。
※巻き方の使い分けは、実技の中で紹介します。
このピンアウトは、イメージした形を調整した最初の情報で、いわばこの状態が形の原型(土台)となります。そしてイメージした形が再現するか否かを知らせる情報でもあるため、ピンアウトの観察には色々な意味が含まれるわけです。
しかしながら、この状態から仕上がりのエリ足のフィット感を予測するのは結構難しいのです。
ハンドブローとは、ピンアウトをすすいでから、ドライヤーで水分を飛ばし、手グシでスタイリングした形です。写真のように目的通りにエリ足のボリュームを小さく抑えることができ、エリ足を首筋にフィットさせることが出来ました。
こんなに変わると、カット前の毛量や状態を忘れてしまいますね!
では、カット後、ピンアウト後、ハンドブロー後のエリ足の比較をしてみます。それぞれの雰囲気の違いなど、変化した様子が一目瞭然ですね!
ボリュームを抑えたエリ足のカット、それを活かすピンパームが連携して、ハンドブローのエリ足のフィット感につながっていることがわかりますね!
こんな風に目標を得る調整が着々と進む(手応え)と、パーマは楽しいのです。それにしても写真は三者三様で、全く別人のような表情を見せていますね!
パーマ後の感じが一番いいと思うのですが、これがパーマの魅力となります。
横から見た毛量も、後から見たのと同じくらい多いですね! これではエリ足がシャープなイメージにならないので、エリ足のボリュームをカットで取り除きます。
しかし、短過ぎると巻けなくなるので、自分の力量と相談して長さを調整する、バランス感覚が必要になります。
カット後の写真は、ハンドブローのシルエットをイメージしながら、修正カットを最低限で済ませる長さに調整しました。巻けない長さではエリ足のフィット感が出なくなるため、長さの決め方は技量で変わります。 (チャレンジか、妥協か)
生え方や頭形の違いにも対応する状況判断をしながら、目標を実現するワインドを行います。この判断が経験値を養う糧となるため、おろそかに扱うと自分にとって損失となります。(失敗は大切なデータ)
つまり、死ぬまで勉強とは、こんな所から生まれるため、巻き方のルールの習得は重要です。
「適当に雑に巻いては」ダメなのです。
それがピンアウトの中に現れるため、形の良し悪しや、施術の良し悪し(技量)や、道具の傷痕(道具の扱い方=調整力)になって現れるわけです。
ボリュームの欲しい所(フロント、トップ、クラウン)と、ボリュームを抑えた(エリ足、サイド)施術で、作品にメリハリ感を作りました。首筋のフィット感は形にシマリを与えるわけですが、これは施術の前に形をイメージングしておくことが重要です。
ですから施術もそれを反映した内容で行います。
(イメージと作品を頭の中で比較する)
横からのカット後、ピンアウト後、ハンドブロー後のエリ足を比較してみます。するとエリ足のフィット感は前述したように、各プロセスの調整が連携し積み重なった結果として、得られていることが分かります。
カット前の状態でわかるように、このモデルさんの毛量は全体的に多く、シャープな作品を作るには決して有利な条件ではありません。そのためエリ足の処理はシャープさを演出するために特に重要で、施術予測を曖昧に行うと、おしゃれさのないモッサリとした作品になってしまいがちです。
それを防ぐのが形のイメージングで、この指示に従いボリュームを抑えたカットやカールの使い分けを行いました。これらのことをトータルに実行すると、シマリのある手入れの楽な作品にすることが可能になります。
※エリ足の生え方が上向きで、添い難い方などにも応用が可能です。
その結果がハンドブローに見える全体の感じと、エリ足のフィット感です。
いかがでしょうか… 毛量の多さを感じさせないキリっとしまったデザインになりましたね! このような効果がピンパームの基本能力(ピンパームとロットの違いで構造を説明)の一つとなり、カールの特徴を上手く利用した施術例となります。
髪の長さは超ショートヘアで、形はオーソドックスで大きな特徴を持ちませんが、短い髪は巻き難いためカールの巻き損ねなどが出易くなります。巻き損ねが短い髪に出ると、目的の形に妙なクセが付き、作品に不用意な動きを与えます。こうなると新たに修正カットをして、改めて直す作業が必要になります。
そのため超ショートヘアは、カット技術とパーマ技術(ロングとは別の難しさ)に、ある一定以上の質の高さを要求するパーマとなります。
土台の話はここまでとし、ハンドブローの全景を紹介します。
なお、このピンパームのワインドは、ウェーブ構成をしない巻き方です。
§ ピンパームのワインドについて。
ピンパームは指先の感覚だけでカールの丸さを調整するパーマのため、練習をしてその感覚を養ってからワインドに入ることをすすめます。
フィットさせるピンパームの巻き方は、ピンパームとロットの違いの中の説明を、参考ヒントにしてください。
●ピンパーム導入をお考えの方へ。
良い物を作ると言う意識が商売より強く、職人仕事が平気でないと無理です。
そして、美容学校に戻ったように、事前の練習は必須となります。独自性を追求する美容師さんには打ってつけの技術です。
※ピンパームを巻く詳細なルールは、実技での扱いとなります。
※カメラの関係で、やや暗く画質が良くないことをお断りしておきます
この作品に使用した主なパーマの調整内容。
◆ピンパームによるエリ足をフィットさせる短い髪の巻き方。(熟練)
◆超ショートヘアを巻く能力。(最初は誰もが出来ない技術)
◆強さ、根元、傷みを調整する、3大基本調整。
◆ピンパームによる中位の強さの調整。(力の均一に入ったカール作り)
◆エリ足をフィットさせるワインド。(正確なカール作り)
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