(タテロールを作り出す基本技術)

 


●タテロール中。


§ 下の写真は、上記タテロールのカット時の長さです。

 

前回パーマから11ヶ月が経ち、伸びた髪を3センチ程度カットした状態です。ソギの入ったロングのパーマですが、改めて写真を見ると結構長い髪でした。

 

§ パーマ終了後、すすいだ水分をドライヤーで少し飛ばしている状態です。

強さは写真の通りで、かける範囲は毛先から25センチ前後です。パーマのかかり具合は動きを全体的に求め、さらに毛先がフワフワと動くカールです。

今風に言うと強いパーマで、このような表情を持つパーマを得ることが今回の目標です。

 

しかし、これとは別に前々から行っていた実用性を探る髪の観察から、タテロールが出来るのでは…と感じていたため、このかかり具合をねじってみました。

タテロールにするにはやや強いのではとも思いましたが、心配する必要はありませんでした。髪の観察を続けたことがこのようなひらめきを生んだようで、同時に実用性能を高める条件がさらに強固になりました。

 

なお、このタテロールの試作実験は4回行い10.05.16これは初回のデータです。あと3212.07.11312.12.26. 413.08.28ランダムに行い、全てでタテロールの再現を確認します。もちろん髪条件には個人差があるため、誰の髪にもこれが出来るという保証ではありません。

しかし、間違いなくパーマだけでタテロールの出来ることを確認します。

注意 従来的なパーマをベースに、施術を真似てもこのタテロールはできません。

 

モデルさんの動画の表情からも、タテロールが楽にできる感じが伝わりますね!

 

§ カットの長さと、パーマ後の長さの変化。 

水分(写真中央)をタオルで拭い、無造作にねじりタテロールを作ってみました。動画は写真中央の状態をねじっているわけですが、こんなに上手く行くとはビックリです。従来的なパーマをねじってもこのような形作りは出来ないのですが、新たなパーマ技術にはこんな能力も備わるようです。見ている私も嬉しくなりましたが、この現象を何と呼べばいいのか、初めての経験に言葉がありません。

 

 

§ では、このタテロールのワインドを、簡単に紹介してみます。

 

このパーマの巻き込む位置と強さは写真の通りで、ロットの巻順は各美容師さんの巻き易い方法で構いません。大切なことは基本調整を確実に行いながら、目標を得るためにどこまで巻き込み、どの強さに調整するのかです。

しかし、施術者の頭にある施術イメージは表現できませんし、さらにモデルさんでこの条件は変わるため、あくまでも参考例として記憶に留めてください。

 

実際問題、現場(試行錯誤の積み重ね)ではこの判断が刻々と変わりますし、逆から巻くこともあり得るのです。たまたまこのケースは上から巻き始めましたが、合理的な理由があれば施術内容は自由に変更してください。

不思議なのは、ロットを横向きに巻いているのに、タテロールになることでしょうか…!? 従来のパーマはロットをタテに巻き、セットと同じ考え方でタテロールを得ようとしたのです。しかし、それは上手く行きませんでした。パーマの理論(化学反応で作るカールと乾かして作るカールの違い)はセットと違うため、セットを真似ても出来ない場合が多いのです。

つまり、パーマ独自の巻き方があってよいのですが、それが分からなかったためセットを真似たわけです。しかし、問題の本質は髪の中の見えない所で起きる変化ですから、見える所を真似ても結果が得られるという保証はないのです。

ですからパーマのワインドは、セットと違う独自性があっていいのです。

(同じ場合もあるため、その判断も技術となります)

 

§ ワインドはこんな感じです。

ワインドはごくオーソドックスなもので、施術内容は写真の通りです。

そして、これが施術者の描いたワインドのイメージとなります。

※白青ともに7ミリで、巻き数は写真から43本位と思われます。(本数は未記録)

 

§ では、ロットアウト時のかかり具合(カールの動き)を紹介します。

※中央の写真にタテロールらしきカールの動きが見えませんか…?(ロットアウトの観察)

 

いかがでしょう、ロットアウトのかかり具合からも、強いパーマであることが分かりますね! しかし、この強さでタテロールを作ったにもかかわらず、乾くとロールにゆるみ感の出ることが分かります。

セット的に表現すると、カールの毛先側が取れ始めたような感じになるのです。そこでこれ以後のタテロールの実験は、この強さより強くすることになります。

 

2008〜09年頃、パーマをねじるだけでタテロールになるのではと思ったことがあります。パーマのカールの特徴を考えるとやや強いパーマでないと、タテロールは作れず直ぐに取れると推測していました。それを確認するチャンスがめぐり、実行した結果、あっけなくタテロールになることが分かりました。

 

もちろんこの説明は、紹介するモデルさんの髪にパーマの施術内容が適合したためです。この条件が変われば強さの変更は必然ですし、出来ない場合もあるため、誰にでもこれが提供できるわけではないことをご承知おきください。

 

※4回全てで動画を撮り、その中の初回の一部をYouTubeで紹介いたしました。

 

§ 偶然をなくすため、再度確認を続けた結果を紹介します。

●初回タテロール。10.05.16のパーマ)

以前からあったひらめきと、だめで元々というお遊び感覚で髪を無造作につかみねじってみました。 

( ^^) …なんと出来てしまいました。未知の形作りを通して改めて感じたことは、パーマ技術の現状です。

この後のパーマ(12.01.05)でボブにスタイルをチェンジする。

●2回目のタテロール。12.07.11のパーマ)
ボブスタイル後、その短くなった髪のまま再度タテロールを確認しました。初回タテロールのソギの量が減ったため、ロールが丸っこく太くなりましたがタテロールは健在です。

●3回目のタテロール。12.12.26のパーマ 

ボブスタイルが伸びた、約5か月後のタテロールの再現確認です。半分に分けてパーマのかかり具合と、それで出来るタテロールを比較してみました。

 

●4回目のタテロール。13.08.28のパーマ

伸びて重さの出た髪にソギを加え初回の細いロールに戻します。タテロールになることが分かっているため、タテロール作りに新鮮味がなくなって来た感じです。その監視の甘さで毛先に乾いた部分のある状態でロールを作ったため、毛先の納まりが悪くロール作りが雑になりました。

 

この作品に使用した主なパーマの調整内容。

◆形作りを頭の中で組み立てる、イメージング。(パーマの基本技術)

◆カットで決めた長さを、目的の長さに縮ませる強さの予測。(強いほど必須)

◆強さ、根元、傷みを調整する、基本調整の実施。

◆横に巻いたカールがタテロールになる仕組み。

◆傷みを増加させない調整と管理。

 

データベースを利用するには、会員登録が必要となります。

 

日本ピンパーム協会

中部事務局

 

代表 遠山千秋

 

 

 協会代表の挨拶。

 

新たなパーマ技術の発見と、

その性能。

 

私は日本ピンパーム協会中部事務局で代表を務める、遠山千秋と申します。協会発足当時から多くの美容師さんと関わる立場にあり、パーマの夢を語り合ったり、自らがモデルになりパーマを体験して来ました。そのパーマの理想が、シャンプー後のスタイリングの楽さ(楽さ、長持ち)と、格好の良さ(デザイン性)でした。

このようなパーマの内容が提供されれば誰もが嬉しく、これなら後世に残るパーマ技術になると確信します。しかし実際はと言うと、この内容のパーマがなかなか提供されず、おしゃれコストだけが突出してしまい、パーマ人口は大幅に低下してしまいました。

 

協会も発足当時からこの夢の実現のため、多くの美容師さんに情報の伝達を続けながら縁をつないで来ました。しかし技術レベルのアップははかどらず、私の心配は的中して2013年の段階で昭和40年代のパーマ人口にまで激減してしまいました。(日本パーマネント液工業組合の表で確認を行う)

 

そんな中、縁を持った一人の美容師さんが「こんなことが出来るようになった」と、あるパーマを見せてくれたのです。それがここで紹介するパーマ技術の原型です。この技術は私の知るパーマの常識をことごとく覆す内容を持っていて、その内容と結果に私はしばし言葉を失いました。その具体的な施術が、強さ、根元、傷みの3つに分類した基本調整です。

 

※実は、従来のパーマにこの調整を詳細に説明した文献はありません。個人技で理想に近い結果を提供する美容師さんは少数あるのですが、説明が…

 

技術開発には約15年を要したそうで、そのかいがあり従来のパーマ技術に‟解かれていない理論“を見つけることができたとのことです。また実際に傷みの少なさを目の当たりにした私は、基本技術の大切さを改めて見直します。さらにこの発見で従来パーマの不安定さも解決することが分かり、この新たな基本技術に私自身も大変ビックリしております。

  

しかし、この技術を開発した美容師さんは留まる事なく、2006年頃から施術内容の視覚化に取り組んでいたのです。それが各調整で紹介する、動きの見えるテスト、根元の動き、艶による傷みの確認と、持続性の追跡調査等です。 

 

さて、巷には色々なパーマの応用技術があるのですが、結果として「毎回違うかかり具合」「直ぐに取れる」「チリチリになる」「バサバサになる」「楽にならない」などを感じたら、それが基本に問題のあるメッセージとなります。極端な違いや不安定さを感じる場合は、各調整のどれか、あるいは全てに問題が出ている可能性が高くなります。この状態の時、紹介した調整の動きは見えません。

 

そんなことも、このパーマ技術の開発で分かるようになりました。

なお、この現象はピンパームにもロットにも共通する、パーマの普遍的な基本技術です。

 

日本ピンパーム協会の有料会員に登録して頂くと、さらに詳細な情報が分かります。 

 

 

 

 

この技術データはサイクル化(下図)して、絞り込まれて更なる質の向上に貢献するデータを提案します。

 

また、このパーマ技術は、高い安全性と環境に優しい能力を備えながら、さらに省資源やエコ化にも貢献します。