(傷みを調整管理する基本技術)
これは傷みの追跡調査で紹介した中の、2011年08月25日のデータです。
§ では、そのハンドブローから紹介します。 ※本当に艶々ですね!
ハンドブローとはで説明したように、すすぎ後の水分をドライヤーで飛ばし、手グシで形にした状態です。ドライヤーによるブローがなくても、この程度の形になれば、旅先などの出先でも気楽にシャンプーができますね!
写真のようにしなやかで艶のある表情や、手触りの良さ(柔らかな風合い)を確保するには傷みの調整が重要で、その効果がこの結果へとつながります。さらにケア製品の使用も最低限で済み、実用性能(高機能)の高いパーマとなります。
§ では、このハンドブローを色々な角度から観察してみます。
どの角度から見てもツヤがあり、傷みの少ない状態であることが分かります。
この状態を維持し続けることを、‟傷みの極少化”(傷みの管理技術)と言います。
元々パーマが弱いため作品のイメージはおとなしく、派手な動きを持ちません。しかし、そのためにパーマが直ぐに取れては、デザイン性と実用性を失います。そこでデザインにフレッシュなアクセントを加えながら、持続性を確保するため、サイドの流れる部分の毛先に、やや強く動かす調整を行いました。小さな動きですが、このアクセントがデザインと持続性のさりげない主張となります。
§ では、このロットアウトをみてみます。
写真はすすぐ直前の状態ですが、このパーマはカットが先に終わっているため、目的の強さに調整(許容範囲内)しなければならない施術条件です。
目的の強さを安定再現するには、毛髪診断とそれに合う基本調整を確実に行う美容師の技量と、記録したデータの内容を理解し分析する必要があります。
この3つの条件がそろわないと、パーマの変化が予測ができず、カットで決めたせっかくの形に大きな狂いが生じます。こうなるとパーマの前にカットをすることが出来なくなってしまいます。つまり、カット後のパーマは、目的の強さを確実に予測調整(要経験値)することが必要条件となります。
当然のこと調整に不安定さがあると、目的の強さは偶然にしか得られなくなるため、多くの場合修正に大きな時間を費やすことになります。
§ では、このカールの大きさを確認します。(青いカーラーの直径は36ミリ)
注意、青いカーラーで巻いたわけではありません。間違えないでくださいね!
青いカーラーはカールサイズと比較するために置いたもので、この比較からこのパーマも特大のカールであることが分かります。
カールの表情はクルッとして、サイズは36ミリ前後あるため一見セットに見えてしまいます。よく見るとこのカールの根元にも、若干の動きが感じられますね!
§ では、もう一つの調整部分を簡単に紹介しておきます。
それは強さを徐々に弱くする調整がしてあることです。
かかり具合の違い、分かりますか…
上から徐々にパーマが弱くなっています。
右のアップした写真をよく見ると、上部のカールより下部のカールの方が弱くなっていますね!(強さの段階的調整で、さらに詳しい説明を行います)
つまり、特大のカールを調整しながら、上から下に向けてカールを弱くして、さらに毛先を若干ですが動かす調整も加えているということです。
新たなパーマ技術はこのようなことも可能にするのですが、パーマをダイレクトにスタイリング(ハンドブロー)するには、土台となる見えない所への調整は不可欠で、これがパーマをハンドブロー化する条件の1つとなります。
そしてこのハンドブローを可能にする施術内容を長期間記録すると、信頼度の高い追跡調査のレポート化が実現します。もちろん、これを継続するには前述した、毛髪診断と基本調整を行う技量とデータの分析は欠かせません。
§ 次はすすぎ後です。
すすぎ後の状態で、サイドの動きを確認するのは難しいですね! この程度の弱いかかり具合では、見ても分からないような小さな動きだからです。
§ では、すすぎ後のチェックカットで、毛先の動きを再確認してみます。
チェックカットの内容は、ほんの少し毛先を取り除いた程度ですが、パーマ全体の動きに若干落ち着いた雰囲気が感じられますね!(チェックカットの効果)
サイドの毛先をやや強くする調整も上手く行ったようで、目的通りに毛先にハネ(乾いた後の毛先の動きを狙う)る力が残りました。このような確認から、強さを部分的に調整することも可能であることがわかります。
§ そして、最後にワインドを紹介します。
巻き方は極オーソドックスなワインドで、変わった所は全くありません。巻いたロットは9ミリと7ミリの2種類で、巻き数は20本です。
この施術も細いロットで作られた大きなカールサイズのパーマです。
従来的なパーマでこのワインドを行っても、この特大のカールは作れません。
さらに毛先だけを強くする調整を加えるなど、とても出来ないのです。
何故なら、従来のパーマにはこれらの調整を可能にする、基本調整が確立していないからです。しかも従来的なパーマは、技術を盗むこと=真似ることになっているため、真似だけが代々続けられて何故そうなるのかを追究しませんでした。そのため新たなパーマ技術で紹介するような調整は出来ず、良い薬品、あるいは添加剤に活路を見出そうと、技術開発から逃げて(妥協)しまったのです。
※この妥協がパーマレベルの低下を招いた原因ですが、気付いていない人も多いのです。
なお、新たなパーマ技術で紹介するパーマの全てが、パーマ液以外の薬剤を使いません。その意味で非常にシンプルかつ超低コストを実現しながら、パーマ内容を高性能化させます。さらに簡単には盗まれない技の習得を可能にします。
この作品に使用した主なパーマの調整内容。
◆艶を維持する管理法。(データ分析の応用)
◆傷みの極少化。(傷みの小さい状態を維持する施術法)
◆強さ、根元、傷みを調整する、基本調整の実施。
◆毛先の強さの部分調整。(基本調整の応用)
◆細いロットによる特大のカール作り。(安定した調整が条件)
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